矯正治療のサポート

治療中のトラブル対処

矯正生活を安心して快適に過ごしていただくために。

治療期間中に起こりうることと、その対処について。

矯正歯科治療は、数か月から数年にわたって続く治療です。その間には、装置が外れる、粘膜に当たる、痛みが出るといったことが、程度の差はあれ起こりえます。当院では、こうした事態が生じた際の対処と、あらかじめ防ぐための処置の双方について、体制を整えています。

このページでは、治療期間中に起こりうる事柄と、その際の当院の対応をご説明します。実際の対処は口腔内の状態により異なりますので、症状が生じた場合はご自身で判断せず、当院受付までご連絡のうえ、ご来院ください。

装置が外れた・変形・破損

装置が外れた・変形・破損

人間の噛む力はとても強く、時には何十キロといった大きな力を発します。表側や裏側の一般的な矯正装置では「ブラケット」を歯に接着しますが、非常に強い力がかかると外れることがあります。

(最近では矯正用接着剤の強度はとても向上しており、ある程度は強い力にも耐えられます。また歯の表面が傷つかないよう配慮した接着技術を使用しております。)

「歯が動く」矯正の痛み

「歯が動く」矯正の痛み 01 「歯が動く」矯正の痛み 02

矯正歯科治療に伴う痛みは、歯に力が加わったことで歯根膜に生じる循環障害と、それに続く炎症性の変化によって起こります。歯が移動する過程で生じる生理的な反応であり、異常を示すものではありません。ただし、痛みの感じ方には個人差が大きく、同じ処置でもほとんど感じない方から、数日間つらく感じる方までさまざまです。

当院では、加える力の大きさと加え方を調整することで痛みの程度を抑えるよう努めるとともに、どのような痛みがいつ頃まで続くのかをあらかじめご説明しています。痛みが想定を超えて強い場合や長く続く場合は、装置の不適合など別の原因が隠れていることがありますので、次回のご来院を待たずにご連絡ください。

痛みの経過と、鎮痛薬について

装置の調整後、おおむね4〜5時間ほどで痛みを感じはじめ、24〜48時間ほどで最も強くなり、その後4〜5日かけて徐々に軽減していくことが一般的です。多くの場合、1週間以内には日常生活に支障のない程度まで落ち着きます。次のご来院(およそ1か月後)まで痛みが続くものではありません。歯に触れなければ痛みを感じないことが多く、硬いものを噛んだときに強く感じます。

鎮痛薬の使用については、当院から一律にお勧めすることはいたしません。薬剤の選択と用量は、持病、服用中の薬、アレルギーの有無によって異なり、ウェブサイト上で一律にお示しできる事柄ではないためです。市販薬を含め、服用をお考えの場合は、あらかじめご来院時にご相談ください。すでに服用中の薬がある方は、必ずお申し出ください。

なお、矯正歯科の領域では、非ステロイド性抗炎症薬(いわゆるNSAIDs)がプロスタグランジンの産生を抑えることにより、歯の移動を一時的に遅らせる可能性が指摘されています。日常的・継続的な服用は、この点からも望ましくありません。痛みが強く薬の使用が必要と思われる場合は、その旨を当院にお伝えください。

痛みは4〜5日程度で徐々に減少し、長くても1週間以内に軽減します。次の治療日(約1ヵ月後)までの間、ずっと痛みが続くわけではありません。

鎮痛薬には、胃腸障害(胃部不快感、胃痛、下痢など)、浮腫、発疹、蕁麻疹、眠気、かゆみなどの副作用が生じることがあります。長期にわたって連用した場合には、胃粘膜の障害や腎機能への影響が生じることがあります。市販薬であっても医薬品であることに変わりはありませんので、添付文書をご確認のうえ、用法・用量を超えて使用しないでください。症状が改善しない場合や副作用が疑われる場合は、服用を中止し、医師または薬剤師にご相談ください。

装置が当たる・口内炎対策

矯正装置が唇や頬の粘膜に当たって痛んだり、口内炎ができて痛む場合は、下記のような対処をいたします。(矯正治療が進むにつれて歯並びが整うことで、痛みのトラブルも減少します)

ワックスで装置をカバー

手順01
手順02
手順03
手順04
手順05
手順06

矯正装置が粘膜に当たる場合は、口内炎ができる前に、リリーフワックスという半透明のワックス(歯科用の蝋)で装置を覆います。口腔粘膜は治癒が比較的早いため、当たる部位を数日間覆うことで、粘膜側も刺激に順応し、痛みが軽減することが多くあります。

食事の際にワックスが外れることがあります。歯科用として口腔内での使用を前提とした材料ですので、誤って少量を飲み込んでも差し支えありません。ただし、外れたままにすると再び粘膜が傷つきますので、付け直してください。

その後、当院に急患でお越しいただき、飛び出してしまっているワイヤーを切断することで根本的に痛みの原因を解消します。

口内炎には軟膏処方と装置の調整

口内炎には軟膏処方と装置の調整

早期治癒を促す軟膏を処方し、さらには原因となった矯正装置の尖っている部分を丸めたり曲げたりするなどの調整を行います。

虫歯・歯周病・歯肉炎の予防処置

虫歯・歯周病・歯肉炎の予防処置

当院では、治療を始める前と、毎回の通院時に、お口の中の清掃状態や、虫歯・歯周病に対するリスクの程度などに応じて、口腔ケアと歯磨き指導などを行い、予防に努めております。

また、虫歯のリスクの高い場合には、虫歯のリスクの低いシンプルな形状の矯正装置を選ぶなどの対処も可能です。

通院毎に定期的な歯磨き指導

通院毎に定期的な歯磨き指導

その方の状況に応じて、矯正装置の周りや、歯ブラシが届きにくい部分などを中心に、歯磨き指導を繰り返し行っております。

  • 普段の歯ブラシの上手な使い方
  • デンタルフロスや歯間ブラシの補助用具
  • 電動歯ブラシ
  • 効果的な歯磨き粉の選択

超音波クリーニング・フッ素入りの歯磨き粉によるクリーニング

超音波クリーニング・フッ素入りの歯磨き粉によるクリーニング

日常の歯ブラシでどうしても汚れが落ちにくくなっている場合には、当院でプロフェッショナル・クリーニングを行います。超音波によるクリーニングや、細かい粒子が入ったペーストを使った歯の表面の研磨、リナメルトリートメントなどを行います。

洗口液の使用

洗口液の使用

虫歯や歯周炎のリスクが高い方の場合には、通常の歯磨きの後に細菌の繁殖を防ぐ目的で、洗口液を使って1日数回うがいすることにより、虫歯や歯肉炎などを予防します。

フッ素塗布

フッ素塗布

フッ素が歯の表面のエナメル質に取り込まれると、歯の表面は固くなり、虫歯の原因菌が作り出す酸に強く溶けにくくなります。特に生えてきたばかりの歯の表面は弱く、虫歯になりやすい性質を持っているため、生えたての永久歯があるお子さまにはフッ素塗布をお勧めしております。

フッ化物を配合した歯みがき剤も市販されていますが、歯科医院で用いる塗布用の製剤は、市販品より高い濃度のフッ化物を含みます。塗布の可否と間隔は、年齢と口腔内の状態に応じて判断します。

虫歯治療・歯周病治療・抜歯が必要な場合

虫歯治療・歯周病治療・抜歯が必要な場合

矯正治療の開始前、または治療中に虫歯などの処置が必要となった場合には、紹介状をお渡ししたうえで、一般歯科において治療を受けていただきます。当院は矯正歯科の専門医院であり、虫歯の処置や補綴(かぶせ物・詰め物)は行っておりません。

  • その方のかかりつけ医
  • 当院が連携している一般歯科医院|連携医療機関

また、当院では口腔外科の専門医が月に数回勤務していますので、抜歯などの外科処置が必要な場合は、専門医の治療を受けていただくことが可能です。

矯正治療前に虫歯・歯肉炎・歯周病がある場合

矯正治療開始時に、矯正装置を装着する付近に虫歯がある場合には、装置装着に先立って一般歯科にて治療を行っていただきます。

歯肉炎や歯周炎が見られる場合には、矯正装置装着の前に、ブラッシング指導による歯肉炎の解消や、歯周病治療を行う場合もあります。

虫歯や歯肉炎の程度によっては、矯正治療と並行して治療を行っていく場合もあります。

矯正治療中に虫歯・歯肉炎・歯周病になった場合

矯正治療中に虫歯が発見された場合には、その虫歯の程度と矯正治療の内容を考慮して、適切なタイミングを見計らって、一般歯科で治療を行っていただきます。

特に成人の場合には、歯と歯が重なっている部位にもとからある虫歯が隠れていることがあり、矯正治療による歯の移動にともなってそれが見えるようになるという場合もあります。

また、矯正治療中に歯肉炎が見られる場合には、まず徹底したブラッシング指導による改善を図ります。それでも改善が見られないような場合には、場合によっては矯正治療を中断して、歯肉炎の改善を優先させることもあります。

このページの監修

尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)

  • 尾崎矯正歯科クリニック 院長
  • 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
  • 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医

最終更新:2026年8月3日

当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。

あわせてご覧ください

ページの先頭へ戻る