症状と治療実績
口が閉じにくい・唇が開いてしまう
口が閉じにくい・唇が開いてしまう状態です。
「閉じにくさ」を作っているもの
リラックスしているときに唇が自然に閉じているのが、本来の状態です。力を抜くと唇が開いてしまう・閉じるのに意識と力が要る場合、その背景には次のような原因が考えられます。①前歯・口元の突出——上や上下の前歯が前に出ていると、唇がその上に乗り切らず、閉じにくくなります(→ 上顎前突・上下顎前突・口元が出ている)。②骨格の要素——上あごが縦に長い、下あご・あご先が後退しているなど(→ アゴが小さい・ない)。③お口まわりの筋肉の弱さ・口呼吸の習慣——唇を閉じる筋肉の力が育っていない、鼻でなく口で呼吸する癖がある場合(→ MFT-歯並びに影響する癖の改善)。
多くは、これらが組み合わさっています。特に、無理に閉じようとするとあご先に梅干しのようなシワが寄る方は、①②が関わっているサインです(→ アゴにウメボシができる)。
「お口ぽかん」を軽く見ないでほしい理由
口が開いたままの状態(口唇閉鎖不全、いわゆる「お口ぽかん」)は、単なる癖や見た目の問題にとどまりません。口が開いていると、口の中が乾いて唾液による自浄作用が働きにくくなり、むし歯・歯肉炎や口臭のリスクが高まります。また、口呼吸が習慣になると、鼻の防御機能を経ずに空気を取り込むことになり、のどへの影響が指摘されることもあります。さらに、お口ぽかんと口呼吸は、舌や唇の圧力バランスの乱れを通じて、歯並びを悪くする方向に働くという悪循環もあります(→ MFT-歯並びに影響する癖の改善)。
特にお子さまの場合、成長期にこの状態が続くことは、歯並びとお口の機能の発育の両面から、早めに評価する価値があります。「たかがお口ぽかん」ではなく、「気づける大切なサイン」として受け止めてください。
治療の道
治療は、「閉じにくさ」の原因に応じて組み立てます。前歯・口元の突出が原因なら、前歯を後退させて唇が無理なく閉じる位置へ導きます。骨格の関与が大きい場合は、成長期の対応や、程度によっては外科の併用が選択肢となります(→ 顎変形症治療)。そして、どのタイプでも補助として大切なのが、唇を閉じる力や舌の位置を整えるトレーニング(MFT)です。歯を動かして「閉じられる形」を作り、トレーニングで「閉じる力」を育てる——この両輪で、自然に口が閉じる状態を目指します。
よくいただくご質問
Q. 「口が閉じにくい」だけでも、矯正歯科に相談してよいですか?
A. もちろんです。見た目の歯並びが気にならなくても、口が閉じにくい・お口ぽかんは、矯正歯科の受診対象です。背景に治療で改善できる原因が隠れていることが多くあります。
Q. 意識すれば閉じられますが、問題ですか?
A. 本質は、意識していない時間——一日の大半——にどうなっているかです。ご家族に普段のお口元を見てもらう、ふとした写真で確かめる、といった方法で、無意識時の状態を知ることから始めてみてください。
Q. 子どもがいつも口を開けています。トレーニングだけで治りますか?
A. 原因によります。筋肉の弱さや口呼吸が主因なら、トレーニングが主役になることがあります。歯並びや骨格が関わる場合は、その改善と組み合わせます。まず原因の見極めをおすすめします(→ 子供の矯正治療)。
このページの監修
尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)
- 尾崎矯正歯科クリニック 院長
- 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
- 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医
最終更新:2026年8月3日
当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。
