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前歯で噛み切れない

前歯で噛み切れない

前歯で噛み切れない状態です。

前歯の「仕事」ができていない状態

歯には役割分担があります。前歯(切歯)は食べ物を噛み切る「はさみ」の役、奥歯(臼歯)はすりつぶす「うす」の役です。「前歯で噛み切れない」とは、この前歯のはさみの機能が働いていない状態を指します。麺類や葉物、サンドイッチなどを前歯で噛み切れず、奥歯や舌でちぎるように食べている——心当たりのある方は、前歯のかみ合わせに原因があるかもしれません。

最も多い背景は、上下の前歯が咬み合わずに開いている開咬です(→ 開咬)。ほかに、前歯が前方に傾いて上下が接触しない上顎前突・上下顎前突(→ 前歯が出ている)、あるいは前歯の先端どうししか当たらない切端咬合(→ 切端咬合)などでも、噛み切りにくさが生じます。

前歯が働かないと、奥歯に皺寄せがいく

前歯が噛み切りの仕事をできないと、その分の負担は奥歯に集中します。本来は分担されるはずの力が一部の歯に偏ることで、奥歯のすり減りや負担の蓄積につながることがあります(→ 外傷性咬合)。また、前歯で噛み切れないと、食べ物を大きいまま奥へ送り込みがちになり、よく噛まずに飲み込む習慣や消化への影響につながることもあります。発音の面では、前歯の隙間から息が漏れてサ行・タ行が不明瞭になる方もいます。

「食べ方の個性」だと思っていたことが、実は前歯のかみ合わせに由来していた——治療して前歯が噛み合うようになって初めて、以前の不便さに気づかれる方が少なくありません。

治療の考え方

治療は、原因となっているかみ合わせを整えて、前歯が正しく咬み合う関係を作り直すことが目標です。開咬であれば、奥歯の高さや骨格的な傾向をコントロールして前歯が届くようにし(→ 開咬)、前歯の突出であれば、前歯を適切な位置と角度へ戻します。舌で前歯を押す癖が背景にある場合は、トレーニング(MFT)を組み合わせて後戻りを防ぎます。前歯の機能の回復は、見た目の改善と同時に達成されることが多く、「噛み切れる」ことの快適さは、治療を終えた方が実感される大きな変化の一つです。

よくいただくご質問

Q. 前歯で噛み切れないのは、矯正で治りますか?

A. 原因となるかみ合わせ(開咬・前歯の突出・切端咬合など)を整えることで、改善が期待できます。まず、どのかみ合わせが原因かを検査で見極めます。

Q. 見た目は気にならないのですが、噛み切れないのが不便です。

A. それこそ矯正歯科の受診対象です。機能の症状は見た目に現れにくいぶん見過ごされがちですが、かみ合わせからのサインであることが多くあります。どうぞご相談ください。

Q. 子どもが前歯で噛み切れていないようです。

A. 開咬や指しゃぶり・舌の癖が背景にあることがあります。成長期は、癖への対応や成長を利用した治療がしやすい時期です。早めの評価をおすすめします(→ MFT-歯並びに影響する癖の改善)。

このページの監修

尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)

  • 尾崎矯正歯科クリニック 院長
  • 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
  • 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医

最終更新:2026年8月3日

当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。

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