矯正歯科治療とは
治療後のケア(保定)
矯正歯科治療で得られた歯並びを、長期にわたって安定させるために。
当院では、治療前や治療中だけに力を入れるのではなく、治療後のかみ合わせの安定性や管理も重要だと考えています。
矯正治療が終わり装置を外した後、歯は治療前の状態に戻ろうとします。そこで後戻りを防ぐための保定装置を使うことで、歯並びが安定するまで固定の期間(保定期間)を設けます。
当院では、動的治療の終了後、原則として2年間の保定期間を設けています。その後については、ご希望に応じてリコール管理システム(長期フォローアップ)により、経過の確認を承っています。
歯並びを安定させるために必要なこと
01 保定(歯並びの固定)
歯並びの後戻りを防ぐリテーナー(保定装置)を使い、治療後の歯根周囲の組織が安定化するまで保定(固定)します。
02 歯並びの後戻りに影響する悪い癖の改善トレーニング(MFT)
必要に応じて、唇や舌などの正しい使い方の指導(MFT)を行い、後戻りや歯並びを悪くさせてしまう癖の改善トレーニングをしていきます。
歯並びに影響する悪い癖
舌癖・異常嚥下癖・噛みしめ癖・ブラキシズム・咬唇癖・咬爪癖・口呼吸・低位舌・指しゃぶり・頬づえ・偏咀嚼癖・不適切な睡眠態癖など
03 歯並びに影響する生活習慣の改善
頬づえや睡眠時の体位など、日々の生活習慣や癖を改善することで、歯並びへの悪影響を排除して、歯並びの長期安定を図ります。
保定期間中に行うこと
通院ペース 3〜6ヵ月に1回(2年程度) | 所要時間 20〜30分
内容
- リテーナー(保定装置)の調整
- 歯並び・かみ合わせのチェックや調整
- お口の中の清掃・ブラッシング指導
- 歯並びに影響する癖の改善(MFT)
保定装置の使用時間
歯並びが安定してきたら、徐々にリテーナーの使用時間や使用頻度を減らしていきます。ただし、ご自身で判断せず、担当医の判断や指示をしっかりと守りましょう。
リテーナーを外す時間
- 01
- 最初は食事や歯磨きなどの時のみ外す
- 02
- 1日3時間外す
- 03
- 1日6時間外す
- 04
- 1日12時間外す
- 05
- 最終的にはリテーナーを装着しなくても、リテーナーがきつくならなければ、歯並びが安定したと言えます
保定装置の種類
保定装置は大きく分けて「取り外し式」と「固定式」の2タイプに分けられます。その方の症状、口腔内の清掃状態、生活環境、ご希望などを勘案したうえで、担当する歯科医師がその方に適した保定装置を選択します。(両タイプを併用する場合もあります)
01 取り外し式リテーナー
メリット
- 食事や歯磨き時など、必要に応じて取り外し可能
- 清掃が行いやすく、虫歯や歯肉の炎症が生じにくい
- 装置を外した直後に生じる、かみ合わせがなじんでいく過程を妨げにくい
デメリット
- 決められた使用時間、ご自身で意識的に装着する必要がある
- 異物感や、慣れるまで発音しづらい場合がある
- 装置自体の調整やお手入れが必要
ホーレータイプ
細いワイヤーとピンクのプラスチックの部分で歯を固定する一般的なタイプ。耐久性に優れ、かみ合わせの管理を行いやすい。
サーカムフェレンシャルタイプ
ホーレータイプと比べ、ワイヤーが奥歯の方を通っているタイプ。かみ合わせがとても緊密な場合に有効。
スプリントタイプ
透明な樹脂で歯列全体を覆う形状です。歯を面で保持できること、目立ちにくいことが特徴で、ナイトガードやホームホワイトニングのトレーとして用いることもできます。一方、材質上、他の装置と比べて耐久性は高くありません。
トゥースポジショナータイプ
スポーツ用マウスガードに似た形状で、上下の歯列を一体で覆います。柔らかい素材のため、歯の生理的な移動をある程度許容しながら、かみ合わせをより緊密な状態へ導くことを意図した装置です。異物感が大きく、他の装置と比べて費用が高くなります。
02 固定式リテーナー
メリット
- ご自身で着脱する必要がなく、装着時間を気にせずに済む
- 強固な固定ができるため、しっかりと保定を図ることが可能(開咬や舌習癖のある症例に有効)
- 外から見えず、違和感も少なく、発音への影響もほぼない
デメリット
- お口の中の清掃状況や衛生状態のよくない方には使用できない
- 取り外し式と比べて、接着部に虫歯が生じるおそれがある
- 装置の破損に本人が気づかない場合がある
犬歯間固定装置タイプ
下顎前歯部の長期的な安定を図るうえで有用な装置です。構造が単純で清掃しやすく、異物感が少なく、長期の使用に向いています。
レスポンドワイヤータイプ
上下の歯の裏側に使用することが可能。異物感が少なく、強固に歯を固定することが可能。装置の破損に気づくことができなかった場合は虫歯のリスクがある。定期的な管理が必要。
保定期間中の注意点
取り外し式のリテーナーが破損・変形した場合、または固定式のリテーナーが外れた場合には、そのままにせず、速やかに当院受付までご連絡のうえ、ご来院ください。お電話でお受けできるのはご予約のお取り次ぎのみで、状態の判断と処置はご来院のうえで行います。修理・調整・再装着など必要な処置を行います。そのまま長期に放置してしまうと、歯の後戻りが生じる場合があります。
01 取り外し式の注意点
- 決められた時間・期間・取り外し方法・取り扱い方法で、リテーナーを使用すること
- 食事・歯磨き・運動・スポーツなどの際には外すこと
- 保定期間中の来院時には、必ず持参すること
取り扱い方法
- 外した後に流水ですすぐ、もしくは歯ブラシで磨いて清潔に保ってください。唾液を洗い落とさず乾燥させると歯石のような汚れがついてしまう原因となります。
- 清潔に保たないと、臭いや汚れの原因となります。そのような場合には、専用のリテーナー洗浄剤を使っていただくか、当院にお持ちいただきクリーニングします。
- 入れ歯とは違い、水に入れた湿潤状態で保管する必要はありません。
- 熱に弱いので、熱湯消毒は避けてください。
- 必ず専用のケースに入れて保管してください。ハンカチで包んだりポケットに直接入れてしまうと、紛失・変形・破損の原因になります。
02 固定式の注意点
- リテーナーの周囲のブラッシングをしっかりと行うこと
- 装置が外れていないか、破損していないかに注意して、定期的なチェックを受けること
03 費用について
- 矯正歯科治療は、一部の例外を除き公的医療保険が適用されない自由診療です。費用は全額自己負担となります。
- 保定装置の費用:3,300円(税込)/1本
- 保定期間中のご来院1回あたりの観察費:3,300円(税込)。処置の内容によっては、3,300円〜6,600円(税込・表側矯正の場合)の処置費を申し受けることがあります。
- 紛失・破損により再製作が必要となった場合には、あらためて製作費を申し受けます。
- 費用の詳細は費用についてのページをご覧ください。
04 保定に伴うリスクと副作用
- 指示された使用時間・使用期間を守らなかった場合、歯が移動して治療前の状態に近づくことがあります。程度によっては、再度の矯正治療が必要となります。
- 保定装置を適切に使用していても、加齢に伴う生理的な変化により歯並びがわずかに変化することがあります。変化を完全に防ぐことはできません。
- 装置の材料(樹脂・金属)に対してアレルギー反応が生じることがあります。過去に金属アレルギーを指摘されたことのある方は、必ず事前にお申し出ください。
- 装着の当初は、異物感、発音のしにくさ、唾液の増加が生じることがあります。多くは日数の経過とともに軽減します。
- 固定式の装置は、接着部に歯石が沈着しやすく、清掃が不十分な場合には歯肉の炎症や虫歯の原因となることがあります。
- 固定式の装置の接着が部分的に外れた場合、気づかないまま歯が意図しない方向へ移動することがあります。定期的なご来院での確認が必要です。
- 取り外し式の装置は、紛失・変形・破損が起こりやすく、その間に歯が移動することがあります。必ず専用のケースに入れて保管してください。
- 矯正歯科治療に伴うリスクと副作用の全般については矯正歯科治療に伴うリスクや副作用をご覧ください。
このページの監修
尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)
- 尾崎矯正歯科クリニック 院長
- 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
- 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医
最終更新:2026年8月3日
当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。
