症状と治療実績
下唇が出ている
下唇が出ている状態です。
「下唇が出ている」の意外な二方向
下唇が出て見える原因は、正反対の二つの方向からやってきます。
一つめは、受け口の方向。 下の前歯や下あごが前方にあり、下唇が文字どおり前に押し出されている型です(→ 反対咬合・受け口・下顎前突)。
二つめは、意外にも、出っ歯の方向。 上の前歯が前方に出ていると、口を閉じるとき、下唇が上の前歯の裏側へ巻き込まれます。巻き込まれた下唇は、前へめくれるように押し出され、ぷっくりと突出して見えるのです。「受け口ではないのに下唇が出ている」という方の多くは、この型です(→ 上顎前突・前歯が出ている)。
見た目の訴えと原因の方向が逆であることさえある——だからこそ、下唇のお悩みは、思い込みで治療法を探す前に、原因の方向を検査で確かめることが大切です。ほかに、下唇そのものの厚みという軟組織の要素もあります。
下唇と癖の悪循環
二つめの型(出っ歯の方向)では、しばしば悪循環が回っています。上の前歯が出ている → 下唇が上の前歯の裏に入り込みやすくなる → 下唇を咬む・吸う癖がつく → 癖の力が上の前歯をさらに前へ、下の前歯を後ろへ押す → ますます下唇が巻き込まれる——。弱い力でも持続すれば歯は動くという性質が、ここでは悪い方向に働き続けます。
この場合、癖だけをやめようと頑張っても、唇が巻き込まれる「距離」が残っている限り、癖は戻りやすいものです。前歯の位置を治して距離を解消することと、唇の使い方のトレーニングとを、両輪で考えます(→ MFT-歯並びに影響する癖の改善)。
よくいただくご質問
Q. 受け口ではないと思うのですが、下唇が出て見えます。
A. 上の前歯の突出によって下唇が巻き込まれ、めくれて見えている可能性があります。原因が「上」にあるのか「下」にあるのかで治療はまったく変わりますので、検査による見極めをおすすめします。
Q. 下唇を咬む癖が、やめられません。
A. 意志の弱さではなく、咬みやすい距離がそこにあることが本質かもしれません。距離の原因(前歯の位置関係)を評価し、必要ならその改善とトレーニングを組み合わせるのが、癖と縁を切る近道です。
Q. どのページを読み進めればよいですか?
A. あごから前に出ている感じがある方は反対咬合・受け口へ。上の前歯の突出に心当たりがある方は前歯が出ているへ。どちらか分からない方は、それこそが検査の出番です(→ 初診相談の内容)。
このページの監修
尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)
- 尾崎矯正歯科クリニック 院長
- 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
- 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医
最終更新:2026年8月3日
当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。
