矯正治療法

部分矯正

適用できる症状は限られます。イメージ以上に難しい治療方法です。

部分的に気になっている歯並びを改善します。全体の矯正治療と比べて、装置を付ける範囲が狭いため目立ちにくく、治療期間や費用負担も少ないと言えます。

でこぼこや隙間が限局的で、それ以外のところにかみ合わせの上で問題がない場合に適応できる治療法です。部分矯正治療で全体の歯並びや、かみ合わせを改善することはできません。奥歯のかみ合わせや、上下あごの位置のバランスが悪い場合には、全体的な矯正治療を行うこととなります。全ての方に適応できる方法ではありません。

まずは部分矯正治療の適応かどうかの見極めを行うことが大切です。

でこぼこの部分矯正治療

奥歯のかみ合わせは良好で、前歯のみに問題がある場合には、部分矯正治療を行うことが可能です。この方は、以前に当院での矯正治療のご経験がありました。下の前歯にデコボコが再発し、部分矯正治療で改善を図りました。下の前歯の矯正は目立ちにくいですが、ゴールドワイヤーを用いてさらに目立ちにくく、審美的な目立ちにくい唇側からの部分的な矯正治療を行いました。矯正治療上のリスクとして、虫歯の発生、歯根吸収、咬合関係の変化などが考えられました。しかし本症例では幸いにも、そのような望ましくない偶発症状は認められず、無事に良好な治療結果へと至りました。41歳女性。治療期間5ヵ月。動的治療が完了するまでの治療回数:5回。お悩み:下顎前歯部のでこぼこ。矯正治療後のでこぼこの再発、後戻り。治療内容:過去の矯正治療で上下左右の第一小臼歯を抜歯済み。今回の部分矯正治療では残り全ての歯を非抜歯で行なった矯正治療。矯正装置:唇側からのマルチブラケット装置を用いた部分矯正治療。費用:装置料・基本契約施術料として385,000円(税込)。その他として検査料49,500円(税込)、診断料16,500円(税込)、毎月の調整料6,600円(税込)。自由診療であり治療費は全額自己負担、健康保険証は使えません。診断名:上下顎前突症。診断名:下顎前歯部に叢生の再発・後戻りを伴う再治療例。

隙間を小さくする部分矯正治療

前歯の隙間の改善を希望された方です。上の歯列だけに部分的に矯正装置を装着して、少し前歯を引っ込めると同時に、隙間を閉鎖しました。本症例では、もともと奥歯のかみ合わせのズレや、でこぼこ、口元の突出などの症状は見られず、上の前歯の部分の隙間と、軽度の前突が認められました。ご本人の将来的な留学のご予定などもあり、矯正治療を行うための治療期間にも制約があり、部分矯正治療では得られる治療結果も限局的なものであることをご理解の上で、部分矯正治療を行いました。矯正治療上のリスクとして、虫歯の発生、歯根吸収、咬合関係の変化などが考えられました。しかし本症例では幸いにも、そのような望ましくない偶発症状は認められず、無事に良好な治療結果へと至りました。18歳男性。治療期間9ヵ月。動的治療が完了するまでの治療回数:8回。お悩み:上の前歯の隙間、上の前歯が少しだけ出ている。治療内容:全ての歯を非抜歯とした矯正治療。矯正装置:唇側からのマルチブラケット装置を用いた部分矯正治療。費用:装置料・基本契約施術料として385,000円(税込)。その他として検査料49,500円(税込)、診断料16,500円(税込)、毎月の調整料6,600円(税込)。自由診療であり治療費は全額自己負担、健康保険証は使えません。診断名:上下顎前突症。診断名:上顎前歯部正中離開を伴う不正咬合症。

歯を失ったスペースを小さくする部分矯正治療

歯を虫歯や歯周病などで失ってしまったため、代わりに近くの歯を移動してスペースを閉じる部分矯正治療です。

歯を失った場合、そのままにしておくと両隣の歯が倒れ込んでかみ合わせが乱れてしまったり、かみ合う歯が垂直的に伸びだしてしまったり、様々な不具合を生じます。そのため、部分的な入れ歯を入れる方法や、ブリッジやインプラントなどの差し歯を入れたりします。

矯正治療でスペースを閉じる方法は、治療の規模自体は小さくても比較的時間がかかりますが、人工物を入れることなく、ご自分の歯でかみ合わせを回復することができる、素晴らしい方法です。

虫歯で奥歯を抜いた患者さんです。生じたスペースを、後ろの奥歯(8番、親知らず)を手前に寄せることで閉じています。通常では、手前の歯も後ろに動いてしまい、前歯のあたりに隙間が空いてしまいますが、矯正用アンカースクリューを固定源にすることで、手前の歯に影響が生じないように治療を行いました。矯正治療上のリスクとして、虫歯の発生、歯根吸収、咬合関係の変化などが考えられました。しかし本症例では幸いにも、そのような望ましくない偶発症状は認められず、無事に良好な治療結果へと至りました。22歳女性。治療期間14ヵ月。動的治療が完了するまでの治療回数:12回。お悩み:左下の第2大臼歯を虫歯で喪失し、残った隙間を親知らずを手前に持ってくることで改善したい。治療内容:左下7番の欠損空隙へ左下8番を移動させる部分矯正治療。矯正装置:歯科矯正用アンカースクリューと唇側からのマルチブラケット装置を用いた部分矯正治療。費用:装置料・基本契約施術料として550,000円(税込)。その他として検査料49,500円(税込)、診断料16,500円(税込)、毎月の調整料6,600円(税込)。自由診療であり治療費は全額自己負担、健康保険証は使えません。診断名:上下顎前突症。診断名:下顎大臼歯の欠損空隙を伴う不正咬合症。

上の前歯を引っ込める部分矯正治療

上顎の歯列のみの部分矯正治療で、前歯のガタガタと、少し出ている前歯を引っ込ませて改善させた1例です。上の歯列にだけ矯正装置を装着する部分矯正治療を行いました。上顎前歯を引っ込めるために、矯正用アンカースクリューを固定源として使用し、動的治療期間は9ヵ月と比較的に短期間で治療を終えました。矯正治療上のリスクとして、虫歯の発生、歯根吸収、咬合関係の変化などが考えられました。しかし本症例では幸いにも、そのような望ましくない偶発症状は認められず、無事に良好な治療結果へと至りました。32歳女性。治療期間9ヵ月。動的治療が完了するまでの治療回数:7回。お悩み:上の前歯のガタガタ、少し前歯が出ている。治療内容:上顎両側8番の欠損空隙へ上顎歯列全体を後方へ移動させる部分矯正治療。矯正装置:歯科矯正用アンカースクリューと唇側からのマルチブラケット装置を用いた部分矯正治療。費用:装置料・基本契約施術料として385,000円(税込)。その他として検査料49,500円(税込)、診断料16,500円(税込)、毎月の調整料6,600円(税込)。自由診療であり治療費は全額自己負担、健康保険証は使えません。診断名:上下顎前突症。診断名:叢生を伴う上顎前突症。

位置や角度の悪い歯を並べる部分矯正治療

年齢が進むにつれて、前歯にでこぼこが出てくる場合があります。全体に矯正の装置を付けたくはないけれど、前歯のでこぼこを部分的に直したい方にお勧めの治療方法です。他の歯並び・かみ合わせには問題がなく、部分的に歯並びの問題がある場合に適用となります。この症例は、上顎の奥歯が外側に傾いていたことで、下顎の奥歯とすれ違いの咬合、つまり、鋏状咬合(シザースバイト)を呈していました。上顎歯列の側方歯から後方の大臼歯にかけてのみの部分矯正治療を行いました。矯正治療上のリスクとして、虫歯の発生、歯根吸収、咬合関係の変化などが考えられました。しかし本症例では幸いにも、そのような望ましくない偶発症状は認められず、無事に良好な治療結果へと至りました。24歳女性。治療期間10ヵ月。動的治療が完了するまでの治療回数:9回。お悩み:左側の奥歯がすれ違いのかみ合わせとなっていて改善したい。治療内容:歯科矯正用アンカースクリューを併用した部分矯正治療。矯正装置:歯科矯正用アンカースクリューと唇側からのマルチブラケット装置を用いた部分矯正治療。費用:装置料・基本契約施術料として385,000円(税込)。その他として検査料49,500円(税込)、診断料16,500円(税込)、毎月の調整料6,600円(税込)。自由診療であり治療費は全額自己負担、健康保険証は使えません。診断名:上下顎前突症。診断名:左側大臼歯部の鋏状咬合を伴う上顎前突症。

歯がキレイに並ぶためのスペース確保方法

画像:でこぼこ・八重歯

でこぼこ・八重歯

画像:口元・歯が出ている

口元・歯が出ている

生えている歯のサイズと本数に対して、お顔やあごが小さい場合、歯が並ぶスペースが足りないため、でこぼこの歯並びや、口元が出ているなどの症状となります。この場合、歯がキレイに並ぶためのスペースを確保する必要があり、下記のような方法があります。

画像:歯並びのアーチを広げる

01 歯並びのアーチを広げる

歯列を広げることで、歯列の長さを増やし、スペースを獲得します。過度の拡大は後戻りなどの原因となるため、拡大できる程度は限られます。

前方向に広げる

一般的なブラケットとワイヤーを用いて行います。

横方向に広げる

一般的なブラケットとワイヤーによる方法や、歯の舌側(裏側)から拡大装置を用いて拡大します。

後ろ方向に広げる

一般的なブラケットとワイヤーによる方法や、歯の舌側(裏側)から歯を後ろに動かす遠心移動装置を用いて、歯を後方移動します。歯科矯正用アンカースクリューを固定源として歯が前に出てしまうことを防ぎながら部分的にでこぼこを並べることも可能です。

画像:奥歯をもっと奥へ動かす

02 奥歯をもっと奥へ動かす

歯科矯正用アンカースクリューを歯茎に埋め込み、それを軸として一番奥の歯(第2大臼歯)をさらに奥へ引っ張って動かすことでスペースを広げます。親知らずを抜いた場合(個人差はありますが)その位置まで奥歯を移動することが可能です。

この治療法によって、従来であれば小臼歯などを抜かなくてはならない症状でも、抜かずに治療できる可能性が上がりました。

詳しく

画像:抜歯をする

03 抜歯をする

便宜的に歯を抜くことでスペースを確保します。空いたスペースに、奥歯と前歯を綱引きさせることで、隙間を閉じ、前歯を引っ込めたり、でこぼこを解消したりします。

画像:歯並びを横方向に広げる

04 歯の表面をわずかに削る

歯の表面はエナメル質でコーティングされています。小臼歯部から前歯部にかけて、それぞれの歯と歯の間を0.1〜0.3mm程度削ることで、少しでもスペースを確保する方法です。わずかな削合ですので、虫歯やしみたりする心配はありません。

部分矯正治療だからこそ、高い技術が要求される

矯正歯科治療は、基本的に作用・反作用などの力学と、生体学の融合で行う治療です。ある歯を動かすためには、別の歯を支点として、その歯を引っ張って動かします。その時、反作用によって支点の歯も動いてしまう可能性があります。

部分矯正治療の場合には、一部の歯のみを動かしたいことが多く、支点となる歯を動かさないように配慮します。支点となる歯の数が多いほど有利ですが、部分的な矯正治療であるために、支点にできる歯も限られてしまいます。

このような制約の中で行う部分矯正治療こそ、専門性の高い矯正歯科医としての様々な工夫や技術が必要とされます。いかに、望ましくない反作用をいかに上手に抑えながら、必要とされる作用を効果的に得られるかがポイントとなります。当院は矯正歯科の専門的な医院として様々なご要望にお応えします。

よくいただくご質問

期間は短くなりますか? 費用は安くなりますか?

昔に矯正治療して後戻りしています。部分矯正治療で治りますか?

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