症状と治療実績

上唇が出ている

上唇が出ている

上唇が出ている状態です。

唇は「幕」である

唇は、それ自体が単独で前に出るものではありません。唇の後ろにある歯と骨の形を映し出す、いわば「幕(スクリーン)」です。上唇が出て見えるとき、幕の後ろでは主に次のことが起きています。①上の前歯と歯ぐきの骨の突出——上唇を内側から押し出している、最も多い型です(→ 上顎前突上下顎前突)。②上あごの骨格そのものの前方位③唇そのものの厚み・形という、生まれ持った軟組織の要素。④歯ぐきの垂直的な発育——笑ったときの歯ぐきの見え方(ガミースマイル)と連動して、上唇が張り出して見える場合です(→ 歯茎の露出・ガミースマイル)。

どの成分がどれだけかは、頭部X線規格写真で歯・骨・軟組織を分けて計測する「軟組織分析」で確かめられます(→ 横顔タイプ別の特徴)。

矯正治療で上唇はどう変わるのか

上の前歯が後退すると、上唇はそれについて後方へ移動します。幕の後ろの構造が下がれば、幕も下がる——これが、矯正治療で口元の印象が変わる基本の仕組みです。ただし、前歯の後退量と唇の変化量の関係には個人差があります。唇の厚みや緊張の強さによって「ついてくる」度合いが変わるためで、治療前のシミュレーションでも、この個人差を踏まえた見込みとしてご説明します。

あわせて正直に。唇そのものの厚みや形は、矯正治療の守備範囲ではありません。また、口元の治療は「下げれば下げるほど良い」ものでもありません。目標は、あなたの鼻・あご先・お顔立ちとの調和点に口元を置くことです(→ 口元が出ているの「下げすぎない」の項をご覧ください)。実際の変化の例は、上下顎前突の症例01(口元の突出と閉じにくさが改善した治療)が参考になります。

よくいただくご質問

Q. 上唇だけが気になります。上の歯だけ治療できますか?

A. 上の前歯を下げると、下の前歯とのかみ合わせの関係も必ず変わります。そのため多くの場合、上下をセットで設計する必要があります。部分的な治療で済むかどうかは、かみ合わせ全体の検査で確かめてからご提案します(→ 部分矯正)。

Q. 笑うと上唇がめくれて、歯ぐきが見えるのも気になります。

A. 上唇の突出と歯ぐきの見え方は、上あごの垂直的な発育という共通の背景を持つことがあります。あわせて評価できますので、両方お聞かせください(→ 歯茎の露出・ガミースマイル)。

Q. 子どもの上唇が出ている気がします。

A. 指しゃぶり・唇の癖・口呼吸が背景にあることがあります。癖のサインに気づいたら、歯並びへの影響が定着する前に、一度ご相談ください(→ MFT-歯並びに影響する癖の改善)。

このページの監修

尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)

  • 尾崎矯正歯科クリニック 院長
  • 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
  • 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医

最終更新:2026年8月3日

当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。

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