症状と治療実績

アゴにウメボシができる

アゴにウメボシができる

アゴにウメボシのようなシワがよってしまう状態です。

ウメボシの正体

あご先には、オトガイ筋という、下唇を押し上げる働きをする筋肉があります。唇が楽に閉じられる口元では、この筋肉は静かにしています。ところが、前歯が前方に出ている、上下の唇の間の距離が遠い、あご先が後退している——唇が「届きにくい」口元では、閉じるたびにオトガイ筋が強く収縮して下唇を押し上げなければなりません。このとき、あご先の皮膚が筋肉に引き寄せられて、梅干しのようなシワが現れます。

つまりウメボシは、癖でも、皮膚の問題でもありません。「唇が届かない距離を、筋肉が無理をして埋めている」というサインです。シワそのものではなく、シワを作らせている口元の距離——そこに、本当の原因があります。

セルフチェックと原因の見分け

鏡の前で、お顔の力を抜いて、唇をそっと閉じてみてください。あご先にシワが寄る・皮膚が張る・力を入れないと唇が閉じ切らない——当てはまる方は、オトガイ筋が「仕事をしすぎている」可能性があります。力を抜くと唇が自然に開いてしまう方(お口ぽかん)も、同じ距離の問題を抱えていることがあります。

距離を作っている原因の候補は、前歯・口元の突出(→ 上下顎前突上顎前突)、あご先の後退(→ アゴが小さい・ない)、お顔の縦方向の発育による唇の届きにくさなどです。どの原因がどれだけ関わっているかは、頭部X線規格写真の計測で分けて確かめられます。お子さまのウメボシは、口を閉じる力がまだ育っていないサインでもあり、口呼吸と併走していることが少なくありません(→ MFT-歯並びに影響する癖の改善)。

治療でどう変わるのか

矯正治療は、シワを直接消す治療ではありません。前歯と口元を、唇が無理なく届く位置へ動かす——原因側を治す治療です。距離が解消されれば、オトガイ筋はもう頑張る必要がなくなり、ウメボシは自然に現れなくなっていきます。実例として、上下顎前突の症例01は、主訴に「あごに梅干しができる」を含む治療です。口元の後退とともに変化した経過を、ぜひご覧ください(→ 上下顎前突・両顎前突)。

なお、筋肉の働きを薬剤で一時的に抑える美容医療とは、アプローチが異なります。矯正治療が目指すのは、「無理な働きがそもそも要らない口元」を作ること——原因からの解決です。あわせて、唇を閉じる力を育てるトレーニング(MFT)が補助になる場合もあります。

よくいただくご質問

Q. 意識すればシワは出ないのですが、それでも問題ですか?

A. 意識して唇を軽く閉じられるなら、距離の問題は比較的小さいのかもしれません。ただ、無意識の時間——一日の大半——にどうなっているかが本質です。ご家族に普段のお口元を見てもらう、ふとした写真を確かめる、といった方法で、無意識時の状態を知ることから始めてみてください。

Q. 子どものあご先に、よくシワが寄っています。

A. 唇を閉じる力と口元の距離のバランスが取れていないサインかもしれません。口呼吸・お口ぽかんを伴う場合は特に、歯並びとお口の機能の両面からの評価をおすすめします。早い段階なら、トレーニングが主役になることもあります。

Q. ウメボシがある=矯正治療が必要、ということですか?

A. 必ずしもそうではありません。ウメボシは「評価を受ける価値があるサイン」です。原因の成分を確かめた結果、経過観察やトレーニングで十分な場合もあります。まずは正体を知ることからです。

このページの監修

尾崎 周作(歯学博士/東京科学大学大学院修了)

  • 尾崎矯正歯科クリニック 院長
  • 東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)咬合機能矯正学分野 臨床教授
  • 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医

最終更新:2026年8月3日

当ページの内容は一般的な事柄についてのご説明です。診断や治療方針は、ご来院のうえ、口腔内を拝見してから承ります。

あわせてご覧ください

ページの先頭へ戻る